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Lifestyle

50年、眠っていたモノ -萬古焼-

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使われなくなってしまったものが現代の生活の中でも生きるような手助けがしたい。

もちろん使われなくなったものは、良いもの・悪いものがあると思います。
どんな時代背景があるのか、どんなものが出てくるのか、ワクワクしながら私たちは三重県四日市市に眠っている萬古焼の器たちの買い付けに行ってきました。

■そもそも萬古焼とは?

三重県四日市市は萬古焼の産地です。
三重県桑名市、四日市市、菰野市で
作られたものが萬古焼と呼ばれているそうです。

萬古焼は、使用されている土に、リチウム鉱石が40〜50%含有されている為、直火や空焚きにかけても高度の耐久性を発揮します。
産地ならではのデザインの特徴はありませんが、鍋や花器などの大きな造形も得意なのが特徴です。
萬古焼に関わる小さな業者が寄り集まり、分業によってそれぞれの役割を果たし、しっかりとしたものづくりの体制が地域に根づいています。

■時代の変化により使われなかったモノ。

ここは萬古焼で有名な花器の中で、時代の変化により使われなかったモノが眠っていた倉庫です。

華道をする人口が増えてきた1940年〜1970年代頃に、萬古焼の地域では、生活に彩を与える花器がたくさん作られていました。
時代が変化する中で残されてしまった、1点モノから量産されているモノまでが、一緒になり埃をかぶって長い間保管されていました。

その頃同時に、花器の装飾品として花籠も作られていました。


こちらは、花器と数が合わなくなったり、残ってしまったものです。
時間を得て生まれたデザイン、風合いが、時代を超えて伝わってくるような気がします。

一転変わり、異国を感じるジョッキや小物たちが眠る倉庫にもお邪魔しました。
ここは、ドイツで作られた絵柄を受け取り、萬古焼として輸出するはずだったジョッキや小物たちが眠っていた倉庫です。

明治以降の1900年代中頃には、萬古焼は国外への輸出が増えていきます。
萬古焼の発展に伴い、海外への輸出が増え、置物やノベルティ製品の生産も伸張していきます。
ところが1900年代後半になると、急激な円高になり、輸出がストップしました。
その影響で生産中止にされ、倉庫に残ってしまったのです。

■釉薬の付き方、 形のムラ。ほんのわずかな 見た目の差で、 定価で販売されない B級品。


どこの窯元でも、全ての器が完璧に作られるわけではなく、釉薬の付き方に偏りがあったり、製造工程により器の形にムラができてしまったり、ほんのわずかな見た目の差でB級品になるものが世の中にはあります。

B級品の眠る倉庫には、定価で販売できなく、行き場の無くなってしまったモノが、倉庫の中にずらりと並び、眠っている状態でした。

もちろん定価で売ることのできるA級品の方が、一般的には魅力のあるもの。
ですが、B級品にも私たちが感じる魅力があります。

それは食器としては問題なく使用でき、価格が安いことだけではないと思っています。
釉薬や形のムラは、工程を経て作られたことをより目で感じることができ、そのモノならではの味があり個性が魅力的です。
製造元の釜では、多くは生産できないけれど、数少ないそれぞれ人がの役割を果たし、協力し合いながら良いものを生み出す努力を続けていました。
その製造工程を今回の取材と買い付けで見てきたからこそ、1点1点の器の個性に改めて魅力を感じました。

■新しい価値を生み出すために。

時間を経て生まれた古物の風合いが、生活の中にどのように溶け込んでいくのでしょうか。

そんなデッドストックやB級品の魅力を、私たちが少しでも多く深掘りし、お伝えできるようになることを目標にしています。
眠っていたものたちの魅力を引き出してあげれたら、モノも私たちも嬉しいです。

 

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