色と手仕事がめぐる場所 — muuc / AND WOOL×cocochi が描くやさしい循環 | cocochi ｜家具と服と暮らしの店

- special feature -

2025.05.21

Fashion

静岡県島田市。豊かな緑に抱かれた地に佇むアトリエショップ AND WOOL は、やわらかなニットウエアを手がけるブランドでありながら、その店内に姉妹ブランド muuc の刺繍プロダクトも並ぶ、糸の世界が凝縮された空間です。

私たちを迎えてくださったのは、muuc で刺繍技術を担う 栗原さん。

柔らかな笑顔で、糸から生まれるものづくりの奥深さを語ってくれました。なお、デザイナーの 村松さん は今回ご不在でしたが、“色の魔術”と評されるそのクリエイションの物語は、また改めてお届けする予定です。

今回の取材を通じて muuc の“糸”の哲学に触れ、cocochi もアップサイクル家具を通じて〈循環する暮らし〉をこれから共に育んでいきたいと感じました。糸と木──異なる素材の物語が交わる旅のはじまりです。

最初に迎えてくれたのは、〈野小花〉の刺繍が愛らしい 30 cm 角のリネン 刺繍ハンカチ。洋服づくりで出る端切れを生かし、手に取りやすい価格に仕立てられています。

cocochi’s note：立体的な刺繍を見た瞬間、「このテキスタイルを アップサイクル家具 の張地に使えたら…」と想像がふくらみました。小さな面積でも映えるので、スツールやクッションへ応用できそうです。

ハンカチはバッグのハンドルに巻いたり、
額装してミニアートにしたり
──暮らしの余白を彩る“小さなキャンバス”。

muuc の刺繍は「まず針と糸を動かすこと」から始まります。栗原さんが直感的に糸を重ね、立体感と色の響きを確かめた後、1 日にわずか 7 m しか縫えないヴィンテージ刺繍機へデータを移行。

栗原さん「ベタ塗りではなく、糸の密度や重なりで“揺らぎ”を出すことを大切にしています」

cocochi’s eye：この“揺らぎ”はヴィンテージ家具の木肌が持つ経年の表情と響き合うポイント。木の節や陰影と、刺繍の陰影が共鳴しそうです。

ニット製品は就労支援施設「ライク」の皆さんと協働。特別な編み機導入で賃金向上を図り、技術的ハードルを下げる“やさしい編み方”を研究しています。

栗原さん「原料を作る人、縫う人、編む人…すべての関わる人が幸せになれるものづくりを目指しています」

cocochi’s resolve：家具を引き取り、次の暮らしへ橋渡しする私たちの活動も、同じ循環の輪の中にある——そう実感できる言葉でした。

現在、muuc の刺繍テキスタイルを アップサイクル家具 の張地に応用できないか模索中です。

muuc の定番ボトムスや刺繍トップスは、着るたび“気分が上がる”とリピーター続出。cocochi のアップサイクル家具も、前の持ち主のストーリーを引き継ぎ、新たな暮らしへとつながっています。

共通点：ものに宿るストーリーが日常を彩り、次の購入へ自然に繋がっていく——この“余韻”を大切にしたい。

刺繍と木工、それぞれの手仕事が出会い、新しい循環が芽吹くかもしれません。ワークショップや共同プロダクトなど、実現に向けた 小さな種まき を AND WOOL / muuc の皆さんと模索していきたいと思っています。

一本の糸、一本の木材——それぞれが歩んできた時間を尊重しながら、新しい命を宿すものづくり。AND WOOL と muuc、そして cocochi が出会い、色と手仕事がめぐる“やさしい循環”は、これからも静かに、力強く広がっていきます。

ハンカチをポケットに忍ばせたとき、アップサイクル家具に腰掛けたとき──ふと心に花が咲くようなときめきを、あなたの暮らしにも。